基本情報
原作:ジョージ・S・クレイソン
マンガ:坂野旭
企画・脚本 大橋弘祐
出版社:文響社
発売日:2019/10/4
ページ数:468(ソフトカバー)
Amazon売れ筋ランキング
金融・ファイナンス:1位
2020年一番売れたお金の本です。
著者の略歴
原作:ジョージ・S・クレイソン
1874年、米国ミズーリ州ルイジアナ生まれ。ネブラスカ大学卒業後、米西戦争中に、米国陸軍で軍務に就く。その後、コロラド州デンバーにおいてクレイソン・マップ・カンパニーを設立。1926年に節約と経済的成功をテーマにした短編寓話シリーズを発行。のちにこのシリーズが『The Richest Man In Babylon(バビロン一の大金持ち)』として単行本化され、90年以上たった今も世界中で翻訳されて、いまなお読者を増やしつづけている。
この本との出会い
以前から存在は知っていましたが、私はマンガより活字派なので、Kindle Unlimitedで同じようなタイトルの本を読んでみました。
似たようなコンセプトで書かれていたものの、例え話が薄っぺらく正直物足りず、結局はこちらを購入して読み直しました。
けっこう厚めの本ですが、漫画だったのでスイスイ読めるし、かなり面白い。
貧しい家庭の男の子の成長物語という設定で非常にわかりやすく、小学生にも十分に理解できる内容だと思います。
お金持ちになる秘訣
ストーリー
この物語は、紀元前2000年頃のイラン、古代バビロニア帝国が舞台です。
主要な登場人物は、貧しい鍛冶屋の息子『パンシル』と、バビロンの大富豪『アルカド』です。
パンシルが貧しい暮らしから抜け出そうと、アルカドにお金持ちになるために教えを乞う所から物語は始まります。
アルカドは、パンシルにお金持ちになるための7つの秘訣を教えます。そして、1袋の金貨と袋に入った『知恵を記した石盤』を渡し、「この2つの袋を金貨でいっぱいになったら帰ってきなさい」という指示を出します。
2つの袋を持って旅立ったパンシルでしたが、その旅は予想以上に過酷なものでした。
7つの原則
- 収入の10分の1を貯蓄する
- 欲望に優先順位をつけよ
- 蓄えた金を働かせよ
- 危険や天敵から金を堅守せよ
- より良き所に住め
- 今日から未来の生活に備えよ
- 自分こそ最大の資本にせよ
原則1と3の解説
収入の1/10の貯蓄なんて簡単なことのように思えますが、実際にできていない人も多いのではないでしょうか。
『父が娘に伝える 自由に生きるための30の投資の教え』では、収入の半分を投資に回すことを勧めていました。
額にこだわらず、とにかく入ってきたお金を全て使わずに貯蓄する習慣をつけることが大切です。それを投資に回して増やす。当然投資にリスクはつきものですが、現時点でリスクを背負わずにお金を増やすことは不可能です。
原則2の解説
「欲しい」と思ったそばから買っていたら、お金はいくらあっても足りません。
収入が多くても、ブランド品・高級車・最新の電子機器などを購入し、豪遊しているような人はお金持ちではありません。
お金持ちとは『お金を持っている人』ではなく、『お金の増やし方を知っている人』のことを言うのです。手元にいくらお金があっても、お金を増やす知恵を持たない者はやがて全てを失ってしまいます。
蓄えた金額以上の物を欲しがらない。自分の欲望をしっかりコントロールすることが大切です。借金なんてもっての他、身の丈にあった生活をしましょう。
原則4の解説
危険や天敵。それは、詐欺師だけではなく『借金・税金・手数料』という形で忍び寄り、あなたから少しずつお金をかすめ取っていくシステムもこれに当たります。
お金の知識がない人は永遠にカモにされ続けます。『理解できない契約をしない』『自分のお金を他人任せにしない』『お金の勉強をして相場を知る』。これが大切です。
原則5の解説
本書では以下のように書かれていました。
住居は幸せな生活と密接にかかわっている。その幸せは貯金を増やすモチベーションになる。家に支払うお金は心を豊かにする投資です。
バビロン大富豪の教えより
今まで読んできた本では住宅ローンを組むことを良しとしていなかったので、ちょっと困惑しました。文章的には「家を買うといい」とは書いていなかったので、これは読み手がどう解釈するかで変わってくるところだと思います。
私的にはローンを組んで家を買うよりも、先に投資で増やす方がいいかなと思っています。ただ、『住居は幸せな生活と密接にかかわっている』というのには激しく同意です。
部屋が荒れ気に入らないものに囲まれていると気分も悪くなるし、逆に狭い家でも清潔に保ち、好きなものに囲まれて暮らすと心は穏やかになります。私は実体験から、住む家の状態が人の心にダイレクトに影響を及ぼすことを実感しました。
原則6と7の解説
動くか動かないかで、経済状況は大きく変化します。
お金の知識をつけたら、明日からではなく今すぐ習慣を変えて動き出す必要があります。
『FIRE最強の早期リタイア術』でも、自分を最大の資本として早期に投資をすることが、資産を増やす一番の近道だと紹介されていました。
お金に好かれる人、嫌われる人
1.10分の1以上を蓄える人は好まれる
2.お金に稼げる勤め先を見つけてやる賢い人は好まれる
3.人の助言に熱心に耳を傾ける人は好まれる
4.自分が理解していない商売に投資する人、お金を守ることに長けた人が否定する商売に投資する人は嫌われる
5.非現実的な利益を出そうとする人、甘い誘惑に騙される人、未熟な自分を盲信する人は嫌われる
つの原則を実行しても失敗することがあります。
そのための追加の助言がこの5つです。
これらは実行するための助言ではなく、どちらかというと精神論に近いですよね。
せっかくお金を増やしても、誘惑に勝てなかったり、他人の意見を聞き入れなったり、理解していない商売に手を出したり・・・。こんな失敗はよく耳にします。
人間の本質って、紀元前の昔から何も変わらないんですね。
自分への戒めとして、これらの言葉は覚えておきたいです。
本書おすすめの投資法
この本は投資本ではありませんが、投資についても言及しています。
現代は、スティーブジョブズやマーク・ザッカーバークなどの、ほんの一握りの超優秀な人間が活躍する時代です。世界で最も裕福な8人の資産と、世界で下から36億人の貧しい人々の総資産はほぼ一緒なんですって。
ですが、超優秀な人々に投資をすることによって、私達にもチャンスは巡ってきます。
本書でお勧めしている投資は、以下のひとつだけです。
- 外国株式のインデックスファンドの投資信託を長期運用せよ
FXでも不動産でも金でもなく、インデックスファンドをおすすめする理由は、前者が物に投資するのに対し、株は人間の努力に投資するからです。
それゆえ、株は成長を前提としています。
個別株では倒産リスクがあるため、リスクをできるだけ減らすために、長期的に見て右肩上がりに成長している株に分散投資して長期保有。これが資産を増やす秘訣です。
本書では投資信託をお勧めしていますが、広範囲の米国優良株パックであるVT・VTI・VOOなどのETFでも良いと思います。
まとめ:この本から学んだこと
私がこの本から学んだことをまとめると、以下のようになりました。
1.収入の10分の1以上を貯蓄する
2.欲望をコントロールする
3.インデックス投資を長期保有
4.借金・税金・手数料に気を付ける
5.心地よい生活環境を整える
6.しっかり稼ぐ
7.甘い言葉に騙されて一攫千金を狙わない
8.お金の勉強をし続ける
9.自分の頭でしっかり考える
友人に、「お金の勉強をしたいけど、いい本ない?」と聞かれた時には、まずはこの本を読むように勧めています。
お金を手にすることができても、自制心や守る力がなければ、すぐに人に騙されたり浪費したりして簡単に全てを失ってしまうからです。
この本は自分の心をコントロールすること、人任せにせずにきちんと学び、自分の頭で考えることが生きる上で何より大切だと教えてくれます。
ただの漫画としてもかなり面白いので、子供の頃にこの本を読めば、自然に金融リテラシーを上げることができるでしょう。
小学生以降なら十分理解できる内容なので、たくさんの子供たちが読むと、日本の未来は明るくなるだろうなーなんて思ったりしています。
学校図書にも採用してもらいたいものです。
では。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 2020年日本で一番売れたお金の本|バビロン大富豪の教え 【基本情報】 原作:ジョージ・S・クレイソンマンガ:坂野旭企画・脚本 […]
[…] 2020年日本で一番売れたお金の本|バビロン大富豪の教え 【基本情報】 原作:ジョージ・S・クレイソンマンガ:坂野旭企画・脚本 […]